隠れファン急増中の「やちむん」
古くは14~15世紀頃には沖縄でやちむんの製造が始まっていたといわれ、最初は城の瓦などが主で、諸外国との交易の中でもたらされた陶磁器類が持ち込まれてから製造技術や品質が高まったと言われています。
最近はこのやちむんをウリにしているおしゃれカフェも多くなっていて、若い女性を中心に伝統技術でありつつも一つのブームになりつつあります。おみやげ品としても、結婚式の引き出物やお祝いごとのプレゼントにも重宝されています。
やちむんの種類
沖縄のやちむんの種類は、大きく分けて2つです。
■上焼(じょうやち)
上焼というのは、赤土の上に白土で化粧掛けしたり釉薬を掛けたものを言います。
焼成のための温度が1200℃と比較的高く、表面の模様や色などの見た目も美しいです。
化粧掛けや釉薬を掛けるのは、見た目をきれいにするというだけではなく、水漏れなどを防いだり汚れを防ぐという実用的な理由もあります。主におみやげ品や贈答用として人気があるのはこの上焼です。
沖縄のやちむんは、特徴として土を分厚く使うところにあります。これは原料となる沖縄の赤土の練成強度が弱いので分厚く作らないと割れやすく、また扱いにくいからという理由があるそうです。
しかし、近年は若い作家の中には研究して薄くて軽い作品を作っている方もいます。
■荒焼(あらやち)
釉薬をかけずに作った焼き物を荒焼といいます。焼成温度は約1000℃。
釉薬を使わないために、装飾は模様付けが主になります。壷、甕など、大きく実用的な品に使われることが多いようです。
黒土と島尻マージとよばれる赤土を7:3程度の割合で作ります。
■その他
上記のほかにも、瓦やシーサーなどはまた別の技術で作られているそうです。
今ではほとんど生産されませんが、昔はアカムヌー(赤物)と呼ばれる赤土のみで作られたやちむんが一般家庭で普及していたようです。
知っていると楽しい、やちむんの柄のハナシ
やちむんには沖縄独特の柄があり、縁起をかついでいることが多いです。その中のいくつかを紹介しましょう。
■唐草
唐草模様は最も多く見られる柄のひとつです。
これは四方八方に伸びて限りなく、延命、長寿と子孫繁栄を意味しています。
■菊紋
菊の文様は、太陽の恵みを象徴します。菊は病気を治し、寿命を延ばす花だと昔から考えられてきました。
余談ですが、沖縄は菊の産地としても有名です。
■魚紋
富と幸福の象徴として、よく描かれている模様のひとつです。
これは、魚がたくさんの卵を産むため、子孫繁栄という意味と願いがこめられているそうです。
■ミンサー柄
元々は八重山地方の織物の柄として用いられていたもので、5つの四角と4つで構成された絣(かすり)模様をしています。
これは「いつ(五つ)の」「世(四)も」ということで「いつの世も」を意味し、いつまでも変わらずにという意味があります。最近はミンサー織ややちむん以外にも、いろんな所で使われる人気の柄になっています。
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やちむん商品ガイド
やちむんはいろんな種類がありますが、方言で書かれていてわからない場合もあります。
いくつか代表的なものを紹介しましょう。
■マカイ(椀)
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■ダチビン(抱瓶)
適当な言葉がないのですが、持ち歩き用の酒瓶です。腰につけられるような形に作られています。
■カラカラ
お祝いなどの際にお酒を入れるものです。
やちむんの名所
沖縄で現在、やちむんの名所と言えば大きく二つです。
一つは那覇市にある壷屋通り。ここはやちむん通りと呼ばれる、窯と販売店が固まっている地域で、訪れる観光客も多いです。やちむんを眺めながら、カフェでやちむんに入ったドリンクを飲む、みたいなこともできます。
もう一つは読谷村にある読谷やちむんの里。ここは昔ながらの窯が多く、職人さんが多くいて体験コースなどが多いです。自然の中でやちむんを使った料理などを提供してくれるお店もあります。
【参考】
Discover Japan TRAVEL 民藝のうつわをめぐる旅
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